身近に迫るSFTS(重症熱性血小板減少症候群)について
最近NEWSでも多く取り上げられているSFTSについて、先日セミナーを受講したのでまとめてみました。
今までは神奈川県での発生がなかったため実感がなかったのですが、ついに神奈川県内でも発生が報告されたためより一層の注意が必要です。
SFTSがどんな病気で、どんな症状が出て、どんな対策をすればいいのか考えていきましょう。
重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome : SFTS)
原因
- ブニアウイルス目フェヌイウイルス科SFTSウイルス
- 1本鎖RNAウイルス
- 直径80~100nm
- エンベロープウイルス
感染動物
- 多くの哺乳動物(犬・猫・人など)
感染経路
- マダニによる媒介
- 感染動物との接触(血液・体液・排泄物など)
ノミダニフィラリア.comより
人における発生状況
以前までは九州や中国地方が感染のメインで関東より東側には感染は認められていませんでしたが、令和7年7月11日に神奈川県の足柄上郡松田町でも発生が報告されました。
JIHS HPより
感染エリアは年々東側に拡大しているため、今後は神奈川県内でも発生件数が増加することが予想されます。
犬や猫における発生状況
人と同様に感染エリアは徐々に拡大しており、最新の報告(令和7年5月)では茨城県で犬と猫の発生が報告されました。
JIHS HPより
猫は犬よりも感受性が高く、発生件数は人の数とほぼ同等です。
また発生件数は年々増加しており年間180件以上と報告されています。
JIHS HPより
神奈川県も発生リスクの高い地域に入っているため、予防を徹底していきましょう。
犬と猫の症状
- 食欲不振
- 発熱
- 黄疸
- 嘔吐・下痢
- 神経症状
- リンパ節の腫大
猫の致死率:62.3%
犬の致死率:47%
SFTSの診断
- 血液検査にて病原検査もしくは抗体検査により診断
SFTSの治療
- 現在、有効な治療法はありません
- 点滴などの対症療法が中心となります
SFTSの予防
マダニ予防の徹底
- 動物への感染はマダニからが主な感染経路のため通年予防を徹底する
屋内飼育を徹底
- マダニの感染機会を減らす
- SFTS保有動物との接触機会を減らす
動物からの感染について
人のSFTSの症状
- 発熱、倦怠感、筋肉痛、頭痛、腹痛、食欲不振などが初期症状として現れる
潜伏期間
- 6~14日間
- SFTS感染動物と接触してから2週間を目安に、体調に異変を感じたら医療機関を受診する
- 動物がSFTSに感染していると申告する
自宅での消毒
- ペットが使用したものは、次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)やアルコール(エタノールなど)にて消毒
- 手袋、マスク、ゴーグルの着用を推奨
まとめ
- 人以外にも犬や猫での感染も拡大しており、今後神奈川県でも発生件数も増加することが予想される
- 動物はマダニからの感染が多い
- 人は感染動物からも感染する
- マダニの通年(12か月間)予防を徹底する
- 室内飼育を徹底する
葉山一色ペットクリニック