てんかん発作とてんかんの定義

てんかん発作とは、「脳における異常過剰な、かつ(あるいは)同期したてんかん性ニューロン活動によっておこる、一過性で様々な運動性・自立神経性あるいは行動性の特性を有する徴候であり、様々な原因によって生じる」と定義されています

つまり、、、

脳の神経細胞の突然の異常な電気活動が原因となっておこる様々な一過性の症状で、原因は様々」

ということになります

イメージとしては、脳の中でアクセルとブレーキのバランスが乱れてしまっている状態です

てんかんとは、「24時間以上の間隔を空けて、少なくとも2回以上のてんかん発作を有する脳の病気」と定義されており、てんかんの分類は以下のようになります

特発性てんかん
  • 明らかな病気がみつからない(遺伝的素因以外に、てんかん発作の原因となる明確な病態が認められないもの)
  • 一般的なイメージのてんかん
構造的てんかん
  • 脳に原因(頭蓋内に原因となる病態が明らかになるてんかん)
  • MRI検査や脳脊髄検査などによって診断を行う
  • 脳炎・脳腫瘍・奇形・血管系・外傷など
反応性発作(厳密にはてんかん発作ではない)
  • 脳以外に原因(頭蓋外に原因となる病態が明らかになるてんかん)
  • 肝性脳症・低血糖・電解質の異常・多血症・チアミン欠乏症・高脂血症・中毒など

はじめて発作が起こったら

まず、発作が「てんかん発作か」を診断することが重要です

発作には、てんかん発作以外に鑑別しなければならないものがいくつかあるため、発作を正しく把握するために「動画」の撮影が重要になります

動画が撮影できない場合は、しっかりと観察を行い伝えていただけると助かります

撮影のポイント

  1. 可能なら、発作の始まりから撮影開始
  2. 動物の安全が確保されたら、抱き上げたりしない
  3. 覆いかぶさらない
  4. 全身の状態、顔の様子を中心に撮影
  5. 呼びかけに反応するか? 「おやつ」「ごはん」などの反応するワード
  6. 正常に戻ったら撮影終了

てんかん発作の原因の診断

  • 最初の発作が6歳以下で発症しているか?
  • 神経学的検査において異常は認められないか?
  • 血液検査において、反応性発作の可能性はないか?

をチェックしていきます

初発が7歳以上神経学的な異常が認められる場合は、「構造的てんかん」の疑いが出てきます

特発性てんかんと確定するためにはMRI検査脳脊髄検査異常がないことを確認しなければならなく、専門病院への受診が必要になります

また、血液検査で異常がみつかればてんかん発作ではなく「反応性発作」が疑われるため、原因を精査・治療する必要があります

てんかん発作の治療(抗てんかん療法)

てんかん発作を起きにくく、かつ程度を軽くするための治療であり、根本的に治す治療ではありません

目標は3か月で1回以内の発作におさめること(寿命に影響ないとされる頻度)

通常は単剤で治療を行うが、まれに2剤、3剤でも発作がコントロールできない難治性(薬剤抵抗性)てんかんと呼ばれるものもあります

いつから治療を開始するか?

国際獣医てんかん特別委員会(IVETF)によるガイドライン(2015)によると、以下のうち1つでも当てはまれば治療開始が推奨されています

  1. 6か月以内に2回以上のてんかん発作
  2. 群発発作 or 重積発作が1回でも起きたら
  3. 発作の頻度増加・持続時間の延長・程度の悪化、が見られる場合
  4. 器質的脳疾患が原因の場合(脳疾患、脳外傷など)
  5. 発作後症状が重度

※群発発作:24時間以内に2回以上の発作

※重積発作:1回の発作が5分以上持続

薬を飲み始めたら・・・

抗てんかん療法を開始しても発作が起こる場合はあります

治療開始前と比較して、発作が起こる頻度が半分以下に低下していなければ薬を増量する必要があります

血液検査にて薬の血中濃度を測定することが可能なので、発作が減らない場合や薬の量を変更するときなどは検査を行います

それでも発作が半分以下にならない、もしくは3か月に2回以上起こる場合は2剤目の抗てんかん薬を併用していきます

その他の治療法

栄養療法
  • 中鎖トリグリセリド(MCT)が発作の頻度を減少させたとの報告があり、てんかん用の療法食として発売されているものもあります(ピュリナ ニューロケア
  • MCTオイルを食事に添加する方法でも同様の効果が認められていますが、猫のてんかんに有効かは分かっていません
  • カンナビジオール(CBD)にも発作の頻度を減少させたという報告がありますが、国内で流通しているものと成分的に異なるため同じ効果があるかは不明です
てんかん外科
  • 薬剤抵抗性のてんかんに対して、切除外科・遮断外科・神経刺激療法がありますが、侵襲性が高くエビデンスレベルは低いためまだまだ一般的ではありません

もしも重積発作や群発発作が起きたら

発作中は正常な自律神経の維持が不可能となるため、高体温・低酸素・低血圧・ショックなどに陥る可能性が高まり、長時間持続するとDICや多臓器不全を起こし死に至ります

そのため、真っ先に行うことは抗てんかん薬の投与です

通常は抗てんかん薬を血管内に注射しますが、自宅では困難なため注射薬を直腸内に投与します(坐剤は吸収までに時間がかかるため推奨されません)

犬ではネイザルという器具を使用して点鼻する方法もあり、こちらは坐薬よりも効果が出るのが早いと言われています

発作時間が長引くほど抗てんかん薬の効果が低下するため、それでもおさまらない場合は別のお薬を注射して発作をコントロールしていきます

てんかんの予後

特発性てんかん
  • 発作の頻度が3か月に1回以内であれば一般的な平均寿命とほぼ同程度
構造的てんかん
  • 中央寿命年齢はおよそ11歳だが、原因疾患によって大きく変化
  • 脳炎では短くおよそ8.2歳
  • 脳腫瘍で10.8歳程度
猫のてんかん
  • 発作のコントロールが良好であれば平均寿命と同程度

まとめ

大切なチェックポイント

  • 初発時の年齢は?
  • 発作は何分間続いた?
  • 呼びかけに反応した?
  • 発作の様子は? ぴーん・がくがく・ビクッ・ばたっ・ぼー
  • 発作がおさまった後の様子は?

発作が起きた際に大切なポイントなので、もし発作が起きたら慌てずに動画の撮影や観察を行ってください

てんかん発作の治療薬はいくつかのお薬があるため、副作用や本人の状態によって使い分けることが重要です

特発性てんかんは上手くコントロールできれば、寿命に大きく影響することはありません

場合によっては手術や神経刺激療法なども選択肢の一つです

葉山一色ペットクリニック