フィラリアの予防 ( 犬・猫・フェレット )
フィラリア予防について
フィラリア症とは、犬糸状虫(Dirofilaria immitis:フィラリア)が原因となる寄生虫性の感染症です。犬糸状虫の感染にはコガタアカイエカなどの蚊の媒介が必要なため、蚊の活動する季節には予防の必要があります。イヌでは、犬糸状虫の成虫が主に心臓の右心に寄生し、心不全を引き起こします。また、イヌ以外にもすべての哺乳類に感染し、ネコやフェレットなどの感染も報告されています。
フィラリア予防の方法
予防薬(駆虫薬)にはいくつか種類がありますが、基本的にはお薬を月に1回投与します。お薬は、錠剤、チュアブル、スポット剤、注射など様々な種類があります。注射タイプの予防薬は12ヶ月間(1年間)効果の続く長期作用型のため、時期を問わず予防することが出来ます。
フィラリアの予防期間
フィラリアが感染するには一定の気温が続くことが必要となります。
感染時期については、HDU(Heartworm Development heat Unit)という方法を用いて予測することが出来ます。
HDUとは、フィラリアを媒介する蚊の体内でミクロフィラリア(フィラリアの赤ちゃん)が感染幼虫(L3)に発育するのに必要な積算温度の単位です。
HDUの計算方法は以下のように計算することができます。
HDU = ((最高気温+最低気温)÷2)-14(マイナスの場合は0とする)
HDUを加算していき、合計が130を越えた時点が感染開始とされています。
感染終了時期は直近30日間のHDUの合計が130を下回った時点とされています。
予防期間の目安は、感染開始後1ヶ月程度から感染終了後1ヶ月程度までです。
三浦エリアの気象庁のデータを元に計算してみると2024年の感染開始が5/6、感染終了が11/11でした。
このデータから考えると予防期間は6月頭~12月頭となります。
フィラリア予防薬について
フィラリアの予防薬は実際は駆虫薬であり、1か月間感染を予防してくれる薬ではありません。投薬した段階で感染しているフィラリアを駆虫してくれているお薬になります。
フィラリアのお薬は主にL3、L4に対して効果があるお薬のため、感染後およそ15日~50日経過した段階で効果を発揮します。
そのため、予防薬の投与は感染開始してから少し経過した6月頭からはじめ、最後の投薬は12月頭まで行う必要があります。
フィラリア予防の前には、フィラリアに感染していないかを検査する必要があります。フィラリア予防薬は、要指示医薬品であり、投薬前には犬糸状虫感染の有無を集虫法、抗原検査法などにより検査することが定められています。
また、万が一飲み忘れていたり隠れて吐き出している場合は感染している可能性があり、その状態で予防薬を投与すると重篤な副作用が現れる可能性もあるため、必ず検査を行ってから投薬をおこないましょう。
ネコのフィラリア症
犬の病気と思われていますが、猫もフィラリアに感染します。
猫は犬と比べてフィラリアの寄生数が少ないため、ほとんどの場合は症状がありません。また検査などによる診断が難しいため、発見が困難な病気です。
猫のフィラリア症は犬と違い「肺の病気(犬糸状虫随伴呼吸器疾患)」と言われています。
咳、苦しそうな呼吸、食事とは関連がみられない吐き気、食欲不振、体重減少が比較的多くみられますが、症状はさまざまで、一見健康な猫でも肺や心臓へのダメージが大きく、突然ショック状態に陥り死亡することもある、猫がかかると怖い病気のひとつです。
猫ちゃんの予防薬は背中に垂らすスポット剤で、ノミやダニも一緒に予防できるオールインワンタイプのお薬になります。
フェレットのフィラリア症
フェレットも犬・猫同様にフィラリアに感染することが分かっています。
フェレットは犬や猫と比べると体格が小さいため、少量のフィラリアの寄生でも重篤化することがあります。
フェレットの予防薬は認可されたものがないため、犬猫用の予防薬を認可外で使用する形になります。
錠剤タイプのお薬か背中に垂らすスポット剤の2種類になります。
海外(アメリカ)での予防状況
アメリカでは近年は通年予防が推奨されています。
温暖化の影響やフィラリア以外の内部寄生虫の予防などを目的としています。
過去にもフィラリアについて記事を書いていますのでお時間がある方は見てみてください。