うさぎの避妊手術と子宮の病気
うさぎの繁殖生理
うさぎの発情は多発情(持続発情)で季節を問わず繁殖が可能です。
メスはおよそ4か月を過ぎると性成熟を迎え、出産が可能となります。
発情周期の中で休止期が非常に短く、交尾後排卵の為、交尾を行うと妊娠する可能性が非常に高いのも特徴です。
妊娠期間はおよそ30日間で、1回の妊娠でおよそ5~10頭を出産すると言われています。
産科疾患は非常にまれで難産はほとんどありません。
うさぎの子宮疾患
避妊手術を行っていないうさぎさんは5歳を超えると80%が何らかの子宮疾患になると言われています。
主な子宮疾患は以下の通りです。
- 子宮内膜過形成
- 子宮水腫
- 子宮腺癌
特に子宮腺癌は発見が遅れると命に係わる怖い病気です。
子宮疾患の主な症状
3歳以上に多発
初期
無症状
健康診断時に発見されることが多い
中期
陰部からの出血性分泌物
うさぎはもともと有色尿が出るため発見が遅れることがある
血尿(膀胱炎)と誤診されることがある
後期
乳腺の異常(乳腺腫瘍・過形成)
貧血
がんの転移
避妊手術を行っていないうさぎさんで上記のような症状が認められる場合は早めに受診することをおすすめします。
子宮疾患の診断法(アプローチ)
症状
出血性分泌物の有無
乳腺の異常の有無
触診
腹部のはり
可視粘膜の異常(貧血)
尿検査
膀胱炎の有無
血液検査
貧血の有無
画像検査
レントゲン
エコー検査
病理検査
摘出した臓器を用いて、検査を実施
悪性の場合は血管やリンパ管に転移をしていないかも確認する
子宮疾患の予防・治療
子宮内膜症
ホルモン剤による内科治療
卵巣・子宮摘出術
子宮の腫瘍
卵巣・子宮摘出術
子宮水腫
卵巣・子宮摘出術
うさぎの避妊手術(卵巣・子宮摘出術)
メリット
- 繁殖の予防
- 性行動の抑制
- 生殖器疾患の予防
- 長寿
デメリット
- 麻酔のリスク(健康な子でも3%前後?)
- 肥満
- 尿失禁(ホルモンの欠乏による)
避妊手術の適期
- 小型種:4~12か月齢
- 大型種:9~15か月齢
当院での避妊手術の流れ
来院前
- なるべくストレスを与えないようにこころがける(飼い主さんがソワソワしているとうさぎさんにも伝わるので注意)
- 当日の朝からは絶食(お腹がはりすぎていると、呼吸などに影響があるため)
- お水の制限はとくにありません
- 術前の検査なども行うため、10:00までに来院
術前
- 血液検査を実施(高齢な子はレントゲン検査も行います)
- 血管を確保し、点滴を開始
- 鎮痛剤、消化器薬を投与
- 酸素化(酸素をかがせる)を行いつつ、鎮静剤などの前投与薬を投与
- 鎮静が十分効いてきたころに注射麻酔薬を投与
- マスクにて吸入麻酔を開始
ボックス内で酸素化している様子
手術
- 術野の毛刈り・消毒を実施
- 手術を開始
- 皮膚の縫合はステープラー(医療用ホッチキス)を使用
術中の様子
手術終了直後
術後
- 1泊入院
- 点滴・消化器薬などを投与
- 早めの段階から食事を開始
退院後
- 10~14日後を目安に抜糸(ステープラー除去)
- 術後に食欲不振などがある場合は皮下補液のために来院
まとめ
- 未避妊の女の子は5歳を超えると高率で子宮疾患にかかる
- 避妊手術適期はおよそ6~12か月齢
- デメリットは麻酔のリスクや肥満















