【獣医師解説】愛犬・愛猫のアトピー・皮膚の痒みどうすればいい?症状と治療・スキンケアの基礎知識
「体をしつこく掻いている」「皮膚が赤くなって毛が抜けてしまっている」といった症状で悩まれていませんか?
犬や猫の皮膚病の中でも、特に相談が多いのがアトピー(アトピー性皮膚炎)です。アトピーは一朝一夕で治るものではなく、根気強いケアが必要となりますが、正しく病気を理解し、適切な治療とスキンケアを行えば、症状をコントロールして快適に過ごすことができます。
今回は、犬と猫のアトピーの基本、症状の特徴、病院での治療法、そしてご家庭でできるケアについて詳しく解説します。
1. アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
アトピー性皮膚炎は、環境中のアレルゲン(ハウスダスト、花粉など)に対する免疫の過剰反応や、生まれつきの「皮膚バリア機能の低下」が原因で引き起こされる慢性的な皮膚病です。
- 犬のアトピー(CAD): 3歳以下で発症することが多く、春から夏にかけて悪化しやすい季節性から始まり、次第に通年性へと変化していく特徴があります。
- 猫のアトピー(FAS/FASS): 猫ちゃんの場合は「猫アトピー性皮膚症候群」と呼ばれ、皮膚だけでなく呼吸器や消化器の症状を伴うこともあります。

2. 犬と猫の症状・出やすい場所の違い
アトピーの症状や赤みが出やすい部位は、ワンちゃん・ネコちゃんで少し異なります。
【犬の主な症状と好発部位】
- 主な症状: 慢性・再発性の激しい痒み、赤み(紅斑)、ポツポツ(丘疹)。長引くと皮膚が黒ずむ(色素沈着)ことや、ゴワゴワと厚くなる(苔癬化)こともあります。
- 出やすい場所: お腹、わきの下、肘の内側、指の間、耳、目の周りなど。
【猫の主な症状と好発部位】
- 主な症状: ブツブツができる(粟粒性皮膚炎)、自分自身で毛を舐め壊してしまう過剰脱毛、顔や首周りを激しく掻く症状など。
- 出やすい場所: 顔、頭部、首周り、お腹、太ももの内側など。
3. 動物病院での治療方法
アトピーの治療目標は「痒みと炎症を抑え、皮膚バリアを回復させること」です。主な治療には全身投与のお薬と外用薬(塗り薬)があります。
| 治療のタイプ | 目的・特徴 | 主な選択肢(薬・ケア) |
|---|---|---|
| お飲み薬・注射 (全身投与) | 内側から素早く痒みや炎症をコントロールする | アポキル、サイトポイント、ゼンレリア、ステロイド、シクロスポリンなど |
| 外用薬 (塗り薬) | 部分的な強い赤みや苔癬化(皮膚が厚くなる状態)に直接作用させる | ステロイドローション・軟膏など |
| 二次感染のケア | アトピーの皮膚は細菌(ブドウ球菌)やカビ(マラセチア)が増えやすいため、これを抑える | 抗菌ペプチド、クロルヘキシジンローション、抗真菌薬など |
4. ご家庭でできる!スキンケア&食事管理
お薬での治療と同時に、ご家庭でのスキンケアや食事の見直し(補助療法)を行うことで、お薬の量を減らせたり症状を安定させたりできます。
- 保湿ケア(ローション・スプレー・入浴)
皮膚バリアを補うため、セラミド配合のスプレーや保湿入浴剤を活用するのが効果的です。特に乾燥しやすい部位を中心に塗り、浸透させましょう。 - やさしい洗浄・ワイプの活用
強い洗髪は逆効果になることがあるため、低刺激なシャンプーを使うか、手軽に拭き取れるシート・ワイプ剤を使って清潔を保ちます。 - 食事の管理
食物アレルギーが関与しているケースもあるため、アレルゲンをカットした特別療法食(加水分解食など)への変更や、オメガ3脂肪酸などの栄養サプリメントの併用も有効です。
まとめ:一歩ずつ無理のないコントロールを
アトピー性皮膚炎は「完全にゼロにする」ことだけを目指すのではなく、上手につきあって日常生活の質(QOL)を高めていく病気です。
痒みの程度や皮膚の状態は季節や体調によっても変化します。「最近少し痒そうだな」「薬の減らし方がわからない」など、気になることがあればいつでもお気軽にご相談ください。




















