冬場は膀胱炎などの泌尿器系の病気のリスクが高くなる時期と言われています。

なぜだかご存知でしょうか?

 

いくつか理由は有りますが、寒いと運動量が低下しそれに伴って飲水量も低下し尿が濃くなることにより結石症のリスクが高まる事や、排尿を我慢することによって結果として尿が濃くなること等が原因として挙げられています。

 

先日参加した腎臓病のセミナーでは、大学病院に来院した腎臓病の子のうちの約40%が尿石症などの泌尿器系の疾患を起こしたことがある子だと言っていました。

泌尿器系の病気の予防することは将来的な腎臓病の予防にもつながるため、定期的な尿検査などの健康診断を行うように心がけましょう。

 

 

先日膀胱結石の手術を行った子のレントゲン写真です

結石

この子は頻回尿、食欲不振、嘔吐、発熱などの症状も出ていました。

レントゲンで確認すると膀胱の中に大きな結石が2つあることが確認できます。

 

つづいてエコー写真です

結石

黒くうつっているのがオシッコで、白く三角形にうつっているのが膀胱の中にある結石です。

エコーでは残念ながらいくつ石があるかは分かりませんが、レントゲンでうつらない結石もあるためエコー検査は必須です。

 

結石にはいくつも種類がありますが、出来やすい結石は「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」の二つです。

「ストルバイト結石」は食事療法により溶解することができる結石なのですが、大きさや数や本人の状態により手術を選択する場合もあります。

「シュウ酸カルシウム結石」は残念ながら食事療法では溶解することが出来ないため、手術が適応になります。

 

この子は尿検査などから「ストルバイト結石」が疑われましたが、強い症状が出ていたため手術を行うことになりました。

 

摘出した結石

結石

大きいもので1cm程度の結石がたくさん膀胱の中にあり、膀胱の粘膜に食い込んでなかなか取れないものもありました。

 摘出後は膀胱や尿道内を洗浄し、結石の取り残しがないかを確認して手術終了です。

 

膀胱結石の大変なところは、再発することが多いところです。

結石の出来やすい要因はいくつかありますが、体質や性別などの変えることが出来ないものも要因の一つになってきます。

 

そのため、食事療法や飲水量の確保などを行いつつ尿検査や画像検査を行っていくことが重要になります。

 

以前尿石症になった事がある子で、しばらく検査を行っていない子は定期的に検査を行うことをオススメします。

 

院長 奈須俊介 

葉山一色ペットクリニック