犬の病気
認知機能不全症候群(認知症・痴呆)
- 認知機能不全症候群とは?
- 一般的に「認知症」と言われているものですが、正式にはCognitive Dysfunction Syndromeで「認知機能不全症候群」と言います。
- こんな症状が有ったら注意
- 日本における調査によると下記の症状が多く認められます
・排せつの失敗(25%)
・よく吠えるようになった(23%)
・家族とのコミュニケーションの変化(20%)
・命令に従わない(20%)
・家の中や庭で迷う(14%)
・睡眠周期の変化(8%)
・部屋の隅で動けなくなる(8%)
- 発症年齢
-
- 11歳~12歳の犬の約28%
- 15歳~16歳の犬の約68% 「こんな症状が有ったら注意」の項目が1つ以上ある場合、認知低下の兆候を示していると言われています。
治療法は?
認知機能不全症候群は完治できるものではないため、進行を緩め、犬と人のQOLの向上を目指すことが主になってきます。
- 1
- 環境修正
・トイレに行きやすいようにする
・足元にすべり止めをつける
・家具の大移動は控える
・視力の弱くなっている犬には、障害物のない通路を確保する
- 2
- 行動修正
・犬を叱らない
・適度な運動
・適度なトレーニング
・頻繁にトイレに連れていく
- 3
- 栄養的介入
・DHAやEPAなどの抗酸化物質含有食あるいはサプリメントの内服
- 4
- 薬物療法
・認知症改善薬など
犬の痴呆診断基準100点法
これらの診断基準は動物エムイーリサーチセンターの内野富弥先生によって1997年に作成されたものです。
上記の症状などであてはまる項目がありましたら、ぜひ試してみてください。
食欲・下痢 | 点数 | 生活リズム | 点数 |
正常 | 1 | 正常 | 1 |
異常に食べるが下痢もする | 2 | 昼の活動が少なくなり、夜も昼も眠る | 2 |
異常に食べて、下痢をしたりしなかったりする | 5 | 夜も昼も眠っていることが多くなった | 3 |
異常に食べるがほとんど下痢をしない | 7 | 昼も食事の時以外は死んだように眠って、夜中から明け方に突然起きて動き回る。飼い主による制止がある程度は可能な状態 | 4 |
異常に何をどれだけ食べても下痢をしない | 9 | 上記の状態を人が制止することが不可能な状態 | 5 |
後退行動 (方向転換) |
点数 | 歩行状態 | 点数 |
正常 | 1 | 正常 | 1 |
狭いところに入りたがり、進めなくなると、なんとか後退する | 3 | 一定方向にふらふら歩き、不正運動になる | 3 |
狭いところに入ると全く後退できない | 6 | 一定方向にのみふらふら歩き、旋回運動(大円運動)になる | 5 |
上記の状態ではあるが、部屋の直角コーナーでの転換は可能 | 10 | 旋回運動(小円運動)をする | 7 |
上記の状態で、部屋の直角コーナーでも転換できない | 15 | 自分中心の旋回運動になる | 9 |
排せつ状態 | 点数 | 感覚器異常 | 点数 |
正常 | 1 | 正常 | 1 |
排泄場所をときどき間違える | 2 | 視力が低下し、耳も遠くなっている | 2 |
所構わず排泄する | 3 | 視力、聴力が明らかに低下し、何にでも鼻を持っていく | 3 |
失禁する | 4 | 聴力がほとんど消失し、臭いを異常に、かつ頻繁に嗅ぐ | 4 |
寝ていても排泄してしまう(垂れ流し状態) | 5 | 嗅覚のみが異常に敏感になっている | 6 |
姿勢 | 点数 | 鳴き声 | 点数 |
正常 | 1 | 正常 | 1 |
尾と頭部が下がっているが、ほぼ正常な起立姿勢をとることができる | 2 | 鳴き声が単調になる | 3 |
尾と頭部が下がり、起立姿勢をとることがアンバランスでフラフラする | 3 | 鳴き声が単調で、大きな声を出す | 7 |
持続的にぼーっと起立していることがある | 5 | 真夜中から明け方の定まった時間に突然鳴き出すが、ある程度制止可能 | 8 |
異常な姿勢で寝ていることがある | 7 | 上記と同様であたかも何かがいるように鳴き出し、全く制止できない | 17 |
感情表出 | 点数 | 習慣行動 | 点数 |
正常 | 1 | 正常 | 1 |
他人および動物に対して、何となく反応が鈍い | 3 | 学習した行動あるいは習慣的行動が一過性に消失する | 3 |
他人および動物に対して、反応しない | 5 | 学習した行動あるいは習慣的行動が部分的に持続消失している | 6 |
上記の状態で飼い主にのみにかろうじて反応を示す | 10 | 学習した行動あるいは習慣的行動がほとんど消失している | 10 |
上記の状態で飼い主にも全く反応がない | 15 | 学習した行動あるいは習慣的行動がすべて消失している | 12 |
合計点で30点以下は老犬の正常な範囲
31点以上、49点以下は痴呆予備軍
50点以上になると痴呆犬です
子宮蓄膿症
- 子宮蓄膿症とは?
-
子宮蓄膿症とは細菌感染により炎症が起こった結果、子宮腔内に膿が貯留する病気です。
高齢の未経産犬や長く繁殖を行っていない犬での発生が多く報告されています。子宮蓄膿症の多くは、発情出血開始後1~2か月の黄体退行期に発症するため、発症には黄体ホルモン(プロジェステロン)の分泌が関与しているといわれています。
-
- エコー検査を行うと、子宮内腔の拡大が認められます。
症状は?
開放性子宮蓄膿症の場合は、外陰部より膿が出てきます。
膿が出てこない閉鎖性子宮蓄膿症もあり、通常閉鎖性の方が症状が重い傾向にあります。
その他の一般的な症状としては、食欲不振・元気消失・発熱・多飲多尿・嘔吐・腹部膨満が認められます。
進行すると、腎不全やDIC(播種性血管内凝固症候群)といった命に係わる病気を引き起こすこともあります。
治療は?
最も推奨される治療は、手術により卵巣・子宮の全摘出を行うことです。
ただし、手術のリスクが高い場合、繁殖を希望する場合などには内科的治療を行うことも有ります。
この症例は、子宮蓄膿症と卵巣の腺がんを併発していました。
このように黄体に異常が認められるケースが多いです。
内科治療
子宮蓄膿症の発生に関係する黄体ホルモンを減少させる薬の投与を行います。
従来の黄体退行ホルモン剤は副作用が強く現れるため、海外で市販されている副作用のない薬を使うことが増えています。
内科治療の問題点としては、次回以降の発情後の黄体期に再発する可能性が高いという事です。
慢性腎臓病
- 危険なサイン見逃していませんか?
- ※このような場合は、腎臓病に注意!
・水をたくさん飲むようになった
・たくさんオシッコをするようになった
・オシッコのニオイが減った
・便秘がちになった
・被毛がボソボソしてきた
・食欲がなくなってきた
・口臭が気になるようになってきた
・痩せてきた
・歯ぐきが白くなってきた
・良く吐くようになってきた
腎臓のはたらき
- 1
- 尿を作る
血液とともに運ばれてくる老廃物を捨て、薄く多量の原尿(オシッコのもと)を作ります
10kgの犬で、およそ53Lほどの原尿が一日で作られています
- 2
- 赤血球を作らせるホルモンを分泌する
腎臓病が進行するとホルモンの分泌が低下し、貧血になります
- 3
- 血圧を調整する
腎臓病の子は高血圧であることが多いです
- 4
- ビタミンDの活性化をする
腎臓病になると
身体にとって不要な老廃物をろ過できなくなってしまい、嘔吐・食欲不振・便秘・貧血などの症状が現れます。
さらに進行すると、尿毒症という非常に危険な状態になってしまいます。
腎臓病は進んでいく病気です
腎臓は一度障害を受けると、その機能は回復しません。
また、なかなか症状が出にくいという特徴があります。
腎臓病の治療
腎臓病の治療の中心となってくるものは食事療法です。
食事中のリンを制限した食事を与えることによって、平均生存期間が約3倍になった事が証明されました。
簡単な検査をこまめに行いましょう
慢性腎臓病を早期に発見できるのは「尿検査」です。
尿検査では、初期の慢性腎臓病のほかに、肝臓病・下部尿路疾患・糖尿病などを発見することができます。
ご自宅での採尿が難しい、というワンちゃんネコちゃんも簡単にできる採尿の方法などがありますので、お問い合わせください。
歯周病
歯周病について
歯周病とは、口の中の菌によって引き起こされる「歯肉炎」と「歯周炎」を総称した病気の名前です。
犬や猫の歯周病は、他のどの病気よりも発生率が最も高く、3歳以上の犬・猫の多くは歯周病を生じていると言われています。
高齢になるにつれ発生率は高くなり、また大型犬よりも小型犬の方が発生率が高く進行が速いと言われています。
ヒトでは歯垢から歯石に変化するのは数日から1か月かかるのに対して、犬の場合は3~5日で歯石に変化します。
そのため、毎日の口腔内ケアを行わないとすぐに歯石が沈着してしまいます。
歯周炎が進行すると、皮膚に穴が開いて膿がでてきてしまったり(外歯瘻)、上顎の骨が溶けてしまい鼻汁が止まらなくなってしまったりします(口鼻瘻管)。
この子は奥歯に穴が開き、綿棒が貫通してしまっています。
歯周病が原因で顎の骨が骨折するケースもあります。
その他、近年では歯周病の全身性疾患への影響が議論されており、犬では心臓・肝臓・腎臓において炎症が認められたとの報告が複数あります。
歯周病の治療について
歯周病の治療の基本は、歯垢・歯石除去になります。
状態によっては抜歯が必要になることも有ります。
全身麻酔下によって、歯垢・歯石除去(スケーリング)、ルートプレーニング、キュレッタージ、研磨(ポリッシング)を行います。
歯周病の治療後の管理の基本は毎日のブラッシングです。
せっかくスケーリングを実施しても、その後のケアを行わないと急速に歯垢が付着してしまします。
毎日のブラッシングで、いつまでもキレイな歯を保ちましょう。
僧帽弁閉鎖不全症
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、心疾患の中で最も多い疾患です。
中~高齢の小型犬種に多く認められ、特にキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは好発犬種として非常に有名です。
この病気は、主に房室弁の変性により弁の閉鎖が不完全な状態になり血液の逆流を起こす病気です。
症状は、発咳・運動不耐性・呼吸促拍・呼吸困難など様々です。
悪化すると失神する場合もあります。
この病気が疑われたら、まずはレントゲン検査や心エコー検査を行い心臓の状態をチェックします。
この症例は左心房の拡大が顕著に認められました。
続いて、心エコー検査です。
心エコーでは、血液の逆流や速度をチェックしたり、サイズを計測したりします。
最後に臨床症状などを含め、検査結果から心不全のステージを分類します。
新しい研究によると、心拡大はあるが症状がないステージにおいて投薬を始めると次のステージへの進行が約15か月延長したとの報告があります。
心不全は、症状が出始めると進行がとても早いため、早期発見・治療が重要になってきます。
猫の病気
- 慢性腎臓病
- 危険なサイン見逃していませんか?
※このような場合は、腎臓病に注意!
・水をたくさん飲むようになった
・たくさんオシッコをするようになった
・オシッコのニオイが減った
・便秘がちになった
・被毛がボソボソしてきた
・食欲がなくなってきた
・口臭が気になるようになってきた
・痩せてきた
・歯ぐきが白くなってきた
・良く吐くようになってきた
腎臓のはたらき
- 1
- 尿を作る
血液とともに運ばれてくる老廃物を捨て、薄く多量の原尿(オシッコのもと)を作ります
- 2
- 赤血球を作らせるホルモンを分泌する
腎臓病が進行するとホルモンの分泌が低下し、貧血になります
- 3
- 血圧を調整する
腎臓病の子は高血圧であることが多いです
- 4
- ビタミンDの活性化をする
腎臓病になると
身体にとって不要な老廃物をろ過できなくなってしまい、嘔吐・食欲不振・便秘・貧血などの症状が現れます。
さらに進行すると、尿毒症という非常に危険な状態になってしまいます。
腎臓病は進んでいく病気です
腎臓は一度障害を受けると、その機能は回復しません。
また、なかなか症状が出にくいという特徴があります。
腎臓病の治療
腎臓病の治療の中心となってくるものは食事療法です。
食事中のリンを制限した食事を与えることによって、平均生存期間の延伸が期待できるそうです。
簡単な検査をこまめに行いましょう
慢性腎臓病を早期に発見できるのは「尿検査」です。
尿検査では、初期の慢性腎臓病のほかに、肝臓病・下部尿路疾患・糖尿病などを発見することができます。
ご自宅での採尿が難しい、というワンちゃんネコちゃんも簡単にできる採尿の方法などがありますのでお問い合わせください。