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被嚢性腹膜硬化症(SEP)の症例

被のう性腹膜硬化症とは?

被のう性腹膜硬化症( Sclerosing encapsulating peritonitis:SEP)とは、腹腔内臓器が硬い膜によって覆われてしまい、臓器と癒着することにより消化管の運動障害を引き起こすとても珍しい病気です。

犬ではSEPの報告はありますが症例数が少ないため、詳しい情報がとても少ない病気です。

明確な診断基準もなく、避妊手術などの開腹手術の際にたまたま見つかるケースがほとんどと言われています。

 

実際の症例

避妊手術で来院されたトイプードルの子です。

7か月齢で手術を行った時の様子です。

通常は子宮を辿って卵巣を見つけるのですが、卵巣が腹膜と癒着してしまい牽引できませんでした。

この症例は、腹膜との癒着を少しづつはがすことにより卵巣がけん引できるようになったため運よく通常通り避妊手術が出来ましたが、中には手術が困難なケースもあるようです。

 

消化器症状などは認められていない為この子は経過観察となりましたが、腸閉そくなどの症状が認められる場合はステロイドなどでの治療報告があるようです。

 

まとめ

  • 被のう性腹膜硬化症は避妊手術や開腹手術の際にたまたまみつかることがある
  • 腸閉そくなどを起こす可能性がある
  • 確立された治療法はないが、ステロイドやタモキシフェンによる治療法が報告されている

 

初めての症例だったため、戸惑いながらの手術でしたが良い経験となりました。

生涯のうちあと何件遭遇するだろう・・・。

葉山一色ペットクリニック
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