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犬の病気

脾臓のリンパ腫(肝脾T細胞型リンパ腫)の症例

リンパ腫とは

リンパ腫とは、血液系の腫瘍であり発生部位や組織サブタイプによって予後や治療法が異なる多様な病気です。

高悪性度のものから、無治療でも数年生存する低悪性度のものまで様々です。

リンパ腫の発生部位

最も一般的な発生部位は「リンパ節」です。

リンパ節は、体表にあり触って分かるものから、体内にありレントゲンやエコー検査を行わないと分からないものもあります。

犬の主な体表リンパ節

 

リンパ節以外の部位は

  • 呼吸器系
  • 皮膚
  • 神経

などにも発生します。

リンパ腫の病理組織学的な分類

リンパ腫を病理組織学的に大きく分けると「B細胞性リンパ腫」「T細胞性リンパ腫」に分類され、さらにそこから細かく分類されていきます。

犬での発生が一番多いのは「びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)」でおよそ50%程度、2番目が「末梢性T細胞性リンパ腫 NOS」でおよそ15%程度と言われています。

 

今回の症例はT細胞性リンパ腫の中でも非常にまれな「肝脾T細胞型リンパ腫(HS-TCL)」と呼ばれるものでした。

肝脾T細胞型リンパ腫とは

その名の通り、肝臓や脾臓に発生するT細胞型のリンパ腫で、その他に骨髄などにも浸潤する悪性度がとても高い腫瘍です。

主な症状は、

  • 肝臓・脾臓の腫大
  • 再生性貧血
  • 血小板減少症
  • 黄疸

などです。

リンパ節の腫大を認めないことが多いため、診断が非常につきにくいとも言われています。

治療は化学療法が中心ですが、急速に進行するため予後不良となるケースが多い病気です。

症例

13歳の柴犬

体重9.7kg

食欲の廃絶を主訴に来院

血液検査、レントゲン検査、エコー検査を実施

脾臓に認められた腫瘤

 

貧血、肝酵素の上昇、脾臓に大きな腫瘤を認めたため摘出を実施しました。

この症例は3か月前にもエコー検査を実施していますが、その際には脾臓に腫瘤が認められませんでした。

術中の様子

シーラーにて止血しながら切除

摘出した脾臓

術後は化学療法(抗がん剤)を実施します。

様々なプロトコール(薬の組み合わせ)がありますが、リンパ腫で一般的なCHOP療法にて治療を行いました。

 

術後は食欲や一般状態も回復し経過は順調です。

ただし、肝脾T細胞型リンパ腫は悪性度が高く、骨髄浸潤や脳などの神経系にも浸潤することがあるため慎重に経過を見ていく事が重要です。

 

脾臓や肝臓に出来る悪性腫瘍は急速に進行するケースがあります。

数か月前の検査では異常が見つからなくても、腫瘍ができることもあります。

健康診断で、「どのくらいの頻度で検査をするか?」はとても難しくいつも悩んでいます。

少なくてもシニア期になったら年に1~2回程度はレントゲンやエコー検査を行い、リスクを事前に把握することをおススメします。

 

葉山一色ペットクリニック
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