下痢・軟便について
下痢とは水分を多く含んだ多量の排便がある状態であり、消化管の正常機能に障害を与え得るものであればどのようなことも原因となります。
下痢に関する分類としては、
- 急性 or 慢性
- 軽度 or 重度
- 小腸性 or 大腸性
が挙げられます。

まずは問診を行って下痢をおおまかに分類し、どの病気の疑いが高いかを考えながら診察していきます。
下痢といっても原因は様々で、中には消化管以外の病気から下痢を起こすものもあります。

これらを頭の中で常に考えながら治療を行っていきますが、急性で軽症な下痢の多くは対症療法で改善します。
しかしながら、重症な場合や慢性の場合は原因を精査していく必要があります。
治療について
対症療法
対症療法が適応になるのは、急性下痢の軽症の場合です。
対症療法に何が含まれるかというと、
- 食事療法(消化器疾患用療法食)
- 輸液(皮下補液)
- 止瀉薬
- プロバイオティクス、プレバイオティクス(シンバイオティクス)、ポストバイオティクス
などです。
以前は抗生物質などを使用することもありましたが、近年の報告では有効性は確認されていないためルーティーンで使用することは無くなりました。
重症の子や慢性的な下痢の子は、対症療法ではなく原因疾患の治療が必要となるため検査などを行い原因を見つけていくことが重要となります。
慢性下痢(慢性腸症)について
犬における慢性下痢の90%が消化管疾患、のこり10%が消化管以外の疾患と言われています。

消化器疾患の鑑別には内視鏡検査などが必要となる場合があるため、まずは消化器以外の疾患の検査を行い病気を絞り込んでいきます。
慢性腸症(Chronic Enteropathy:CE)とは
慢性腸症の診断基準は以下の通りです。
- 慢性の消化器兆候が3週間以上続く場合
- 病理検査により消化管粘膜の炎症性変化があること
- 消化器兆候を示す、他の疾患がないこと
- 対症療法に反応しないこと
慢性腸症は、
- 食事反応性腸症(FRE)
- 抗菌薬反応性腸症(ARE)
- 免疫抑制薬反応性腸症(IRE)
- 治療抵抗性腸症(NRE)
に分類されます。
犬ではFREの発生が最も多いと言われています。
重症度にもよりますが、軽度~中等度であればFREの治療から開始し、次いでARE、IREの治療へと進んでいきます。
症状が重度であれば、初めから内視鏡検査などが必要になる場合もあります。
下痢に対する治療の流れ
- 軽度な急性の下痢は対症療法を実施 (ほとんどの子は対症療法で改善)
- 大腸炎は食物繊維が豊富な食事が必要 (高繊維食)
- 小腸炎は消化に良い食事が必要 (低残渣・低脂肪食)
- 対症療法に反応しない場合は、鑑別診断を実施する (血液検査・画像検査など)
- 重度の症状の場合は内視鏡検査なども考慮する
- 慢性腸症が疑われる場合は食事療法を実施し、次いで抗菌薬などの反応を確認していく
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