直腸腫瘤
犬はシニア期になると直腸内にポリープが出来ることがありますが、そのほとんどは腫瘍性病変と言われています
しかし、ミニチュア・ダックスフンドでは「炎症性結直腸ポリープ」が発生することが多く、これは腫瘍でなく免疫介在性疾患と言われています
本症例もミニチュア・ダックスフンドのため、当初は「炎症性ポリープ」を疑い免疫抑制剤での治療をおこなっていました
一時、触診では触れないレベルまで改善しましたが、投薬終了後に再発したため内視鏡下で生検を実施しました
内視鏡の様子
腸の壁(粘膜)から出ているブヨブヨしたものが腫瘤です
脆く崩れやすかったため、内視鏡で完全に切除を行うことは出来ませんでした
病理検査を行ったところ「直腸腺腫」という良性腫瘍だったため、手術を行うことになりました
直腸粘膜プルスルー法による腫瘍切除
術式は、直腸粘膜プルスルー法を選択しました
消化管は大きく分けると内側の粘膜層と外側の筋層に分けられます
直腸粘膜プルスルーは、肛門からアプローチして直腸の粘膜と筋層の間を分離して粘膜層だけを引きぬいて摘出する方法です
開腹手術を行う必要がないため、腸を切断することもなく癒合不全が起こることもなく、術後のダメージや合併症も少ない手術です
ただし、筋層まで浸潤している腫瘍は摘出できなかったり、術後に直腸の狭窄が起こることもあります


術中写真
腫瘍を肉眼で確認しながら切除を行うため、取り残すリスクは限りなく少ないです
術後は便が出にくくなる場合がありますが、1か月程度で元に戻ることが多いです
あまりにも出にくそうな場合は緩下剤などを用いることもあります
術後の経過は順調で、狭窄することもなく再発も認められませんでした
まとめ
ミニチュア・ダックスフンドは「炎症性直腸ポリープ」が多いですが、腫瘍の場合もあります
治療反応が悪い場合は生検や切除を考えましょう
血便がある場合は直腸内に腫瘤があることがあるため、直腸検査やエコー検査などを行いましょう
腫瘤がある場合は、治療方針を決めるために内視鏡で生検を行うことをおすすめします










