ハリネズミの子で最も多い泌尿生殖器疾患は子宮疾患で、血尿や陰部からの出血を主訴に来院されることが多いです。
陰部からの出血の原因として、「尿石症」や「膀胱炎」による血尿や、消化管からの出血である「下血」との鑑別診断が必要となりますが、メスの陰部からの出血は常に「子宮疾患」を頭に入れておかなければなりません。
経験上ですと、3才付近からは子宮疾患が非常に多い印象です。
ケージ内の出血の様子
膀胱炎との鑑別には尿検査やエコー検査などが必要となりますが、基本的にはどちらの検査も麻酔が必要となることがほとんどです。
麻酔BOXに入れてガス麻酔による麻酔をかけた状態で、エコー検査を行ったり採尿して尿検査を行ったりします。
血液検査の採血も基本的には麻酔下で行います。
子宮疾患の疑いが高い場合は、治療は手術になります。
検査時と同様に麻酔をかけ、鎮痛剤や抗生物質なども投与します。
毛刈りや消毒を行った後、下腹部を切開し子宮を体外にけん引します。
ハリネズミの子宮はデリケートで出血もしやすいため、当院では血管シーリングデバイスを使って止血を行いながら手術を行っています。
糸で縫合するよりも早く、また出血のリスクも少なく手術することが可能です。
皮膚の縫合は吸収糸で行うことにより、術後の抜糸を行わないですむようになります。
子宮の病気の原因は良性のものから悪性腫瘍など様々です。
術後に他の臓器に転移することなどもあるため、慎重な経過観察が必要になります。
ハリネズミのおんなのこの出血は高確率で子宮疾患なため、経過を見ずに早めの診断・治療を行いましょう。
もちろん検査や手術などのリスクもゼロではないので、経験が豊富な先生に相談することをおすすめします。
院長