うさぎの前庭疾患はまれに認められる病気で、突然の頭の傾きや眼の揺れに気が付き来院されるケースがほとんどです。
なかにはうまく歩けずにコロコロ転がってしまうこともあります。
前庭疾患には主に
① 中枢性前提疾患(脳)
② 末梢性前提疾患(内耳・中耳)
に分類されます。
うさぎさんは、内耳神経と顔面神経が近くを走行しているため、顔面神経麻痺を同時に発症することもあります。
顔面神経麻痺を起こし、顔の形が非対称になっている子です。
前庭疾患の原因は様々で、まずは脳なのか耳なのかを鑑別していきます。
眼の揺れている向き・神経異常の有無・意識障害の有無などから判断していき、脳の可能性が高ければMRI検査が必要となります。
眼球振盪を起こしているうさぎさんの様子です。捻転斜頸も伴っています。
脳炎の原因としては、細菌性脳炎やエンセファリトゾーン症(寄生虫?真菌?)が多いと言われています。
この場合は抗生物質や駆虫薬を使って治療していきますが、意識障害を伴っている場合は予後が難しいと言われています。
内耳炎・中耳炎は、外耳炎からの波及のほか、歯からの感染や呼吸器からの感染などが報告されています。
治療は抗生物質による治療となりますが、、まれに手術が必要となる場合があります。
上の画像の子の1か月後の様子です。
斜頸は残っていますが、ケージの中ではうまく歩くことも出来ています。
ご飯も上手に食べられているため、経過観察となりました。
上手く立ち上がれなくなってしまった場合は、褥瘡予防のマットを引いたり、寄りかかれるようにクッションを置いたりするなど看護が必要となります。
ご飯を食べにくい場合は口元に持っていったり、給餌をしてあげる必要もあります。
症状が進行すると予後に影響してしまうため、捻転斜頸や眼球振盪などを発症したらなるべく早めに受診するようお願いします。
院長