膀胱結石とは
おしっこ(尿)は腎臓で作られ、尿管を通り、膀胱に貯留し、尿道を通って体から出ていきます。
尿路とは「腎臓」「尿管」「膀胱」「尿道」の事を指し、「膀胱結石」はその中でも膀胱に出来る結石を指します。
この子は頻尿や血尿の症状がなく、たまたま健康診断でレントゲンを撮影した際に膀胱内に結石があるのが見つかりました。
結石の種類と治療法
その多くは「ストルバイト結石」か「シュウ酸カルシウム結石」のどちらかですがまれにその他の結石もあります。
結石の種類によって治療方法や食事の選択も変わってきます。
治療にはどの結石かが重要になるのですが、結石そのものを検査しない限りは確実に種類を判別することはできません。しかし結石は手術などをしないと取り出すことはできません。
そのため一般的には尿検査を行い、尿中に結晶(結石の赤ちゃんみたいなもの)が出ているかを確認し結石の種類を推定します。
しかし、尿検査をしても結晶が出てこないケースもあり、この場合は治療に苦慮します。
「ストルバイト結石」の場合は、治療のメインは食事療法になります。食事をしっかり管理すれば手術をしなくても結石は溶解(溶けてなくなる)しますが、「シュウ酸カルシウム結石」の場合は手術が必要となります。
この子も尿検査ではどちらかが判定できず、1か月間食事療法で様子を見ていたのですが変化がなかったため手術を行いました。
術前のレントゲンやエコー写真がこちらです。
膀胱の中に複数の結石が確認できます。
手術によって結石を摘出し結石の種類を確定しつつ、術後は再発を防ぐために食事療法や飲水量の確保などを行っていきます。
体質によって結石ができやすい子もいるため、しばらくは定期的に尿検査やエコー検査を行うことも重要です。
摘出した結石がこちらです。
他の症例だと、どちらの結石でもない「シュウ酸アンモニウム結石」が出た症例が2件ほどいました。
以前は「ストルバイト結石」が圧倒的に多かったのですが、市販の食事もストルバイト結石に対応している食事が増えたため、今は「シュウ酸カルシウム」が増えてきているそうです。
当院でも「ストルバイト結石」はあまり見る機会がなくなってきました。
尿結石は食事や飲水などによって予防することも可能なので、定期的な尿検査や画像検査などを行って、早めに治療することをおすすめします。